子どものころは歯を食いしばっていても涙を流すことはなかった、らしい。まったく記憶にないけれど。
どちらかと言うと感情を表にしないので、大人になってからもあまり泣くことはなかった。感動する話を聞いたときも、仕事で悔しい思いをしたときも、人に裏切られたときも、怪我をして痛かったときも、涙を流した記憶は殆どない。
覚えていないだけかもしれないけれど。
そんなクールな私が、いつの頃からか人並みに涙を流すようになり、今ではすっかり涙脆い人間となってしまった。
嬉しい知らせに涙を流し、悲しい知らせに涙を流し、楽しい話を聞いて笑いながら涙を流し、辛い打ち明け話に涙を流す。
そんな私は、昨日、玉ねぎに泣かされた。
目から溢れた涙が頬を伝って、ポロポロと流れ落ちる。
たった3個の玉ねぎに何十分もとまらない涙。